【ブーゲンビレア】
2014年8月に、コメント欄に投稿されたあまずみさんの詩です。これら、「あまずみさんの詩」にご意見・ご感想などあれば、コメントよろしくです。
【第二作 タイトル:淅瀝(せきれき)/関連俳句:溢れ蚊の遠くて近き涅槃かな】
止まない雪、ポケットのキャンディーは
もう無い。
時はどれくらい過ぎたのだろうか
町は白一色に変わろうとしている。
通りの向こうにポストが見える
行き過ぎるはずのこの町、
来る日も来る日も夕陽を見ていた。
水平線に落ちる夕陽の中に、
後もどり出来ない影法師がいた
やがて夏が過ぎ、風に群れ遊ぶ薄の中を
ひとり歩いた…。
晩秋の月は赫く、遙か彼方には
淅瀝とした荒野があった。
もうそこまで冬の雲が来ている…
いそがなくては…
惜別の日々は疾く、
一通の手紙を手に雪を見ていた。
重い足どりはポストに向かい、
遠ざかる街の灯を後に
また一人歩き始めた……。
【第一作 タイトル:忘れ路の角 関連俳句:長き夜や君わすれ路の角に立つ】
もう太陽は色あせた山に沈み
つれない風が街角を掠めました…
鈍色の公園の小径やベンチの上を
木の葉が躍っていた刻
私はあなたの為に
夜想曲を捧げました…
あなたは私を見私はあなたを…
やがて風と落葉をついて
あなたは歩き始めました…
あなたは黙っていました
立ちこめた夜は鎖のように
蒼黒の腕をからませました…
さまざまの形の戯れに囲まれて
私の中にあるけれど
私のものではない
私達を惑わすことはあるけれど
欺くことのない
不思議な空間をたずねながら…
もうあたりは真っ暗で誰ひとりとして
一言も口をききませんでした…